先月末の会社会議で話題になった、
「竪管チェック」を進めています。

今回、新築工事に常駐している弊社社員が作成した図面を確認しながら、
「実際に自分が施工図を描くなら、どうするか?」

そんな視点で、一つひとつ図面を見直してみました。

そこで改めて感じたのが、

図面の中には、「お金」と「時間」が落ちている。

ということです。

ただ設計図通りに作図するのではなく、

「本当に現場で施工できるのか?」

「もっと安全にできないか?」

「無駄な材料や作業はないか?」

「将来のメンテナンスまで考えられているか?」

そんな視点で図面を見ることも、現場代理人の大切な仕事だと思っています。



時代の変化に対応できるか?

私自身、長年「ティーファス」というCADソフトを使用してきました。

しかし現在、建築設備業界では、

Rebro(レブロ)という、

株式会社NYKシステムズが開発・提供している、

建築設備設計・施工に特化した国産の3次元CAD、BIMソフトが広く使われるようになっています。

当然、操作方法が違います。

「こうしたい」と思っても、以前のようには操作できない。

ネットで調べながら、一つずつ覚えています。

今の私は、同じようにパソコンでCADを操作していますが、

海岸線の砂の上を走っているような感覚。

もしくは、

左手で箸を使って食事をしているような歯がゆさ。

そんな感覚の操作方法の違いに四苦八苦しています(笑)。

でも、時代は変わります。

生き残るためには、
自分自身もレブロに順応していかなければなりません。

もっと時代が進めば、ヘッドギヤのようなものを装着するだけで、

「ここに配管を通したい」

と考えたものが、そのまま図面になってくれる。

そんな時代が来るのかもしれません。

それまでは、自分の頭と手を使ってCAD対応 頑張ります。



では、具体的に配管をどう最適化するのか?

ここからは、今回図面を確認していて、

「私なら、こうする」

と考えたポイントを具体的に紹介します。

※Rebroにまだ不慣れなため、線幅など見にくい部分についてはご了承ください。



① 竪配管の荷重を受ける「ロケット架台」



超高層ビルなどでは、数十フロアを垂直に立ち上がっていく竪配管が登場します。

その竪管の最下部を固定し、荷重を受けるために設置するのが、

「ロケット架台」です。

他現場、参考写真

今回の図面では、この部材に「割」が入っていませんでした。

このままでは、床スリーブを通して搬入することができません。



つまり、

図面上では作図できても、現場では施工できない。

ということです。

そこで「割」を追記しました。

これは平面展開する配管の梁スリーブの貫通部などでも同じです。

実際に施工できる形状になっていなければ、現場に搬入してから、

「ここ、通せない……」

となります。

そうなれば、

現場で切断して継手を追加する。

あるいは、

最悪の場合、部材そのものを再制作する。

そんなことにもなりかねません。

これでは、明確に

**「時間」と「お金」**を落としてしまいます。



② エアー抜きの検討

水系消火設備では、充水配管であっても、抜き切れない空気層が存在します。




そのため、

配管内の空気はどこに溜まってしまい、それをどう抜くのか?

ということを、図面の段階から考えておく必要があります。

特に竪管の上端部では、

「エアだまりをつくらない」

という意識が重要です。

では、具体的にどうするのか?

配管の形状を確認し、継手の選定を適切に行う。
そして必要に応じて、エア抜きを行うためのバルブを設ける。

完成してから、

「空気が抜けない」

と悩むのではなく、

図面の段階で考えておく。

これも施工性を高めるための重要なポイントです。



③ 配管サイズを見直す

配管サイズは、

「用途」と「管路損失」

などを考慮して決定します。

まずは用途による配管サイズのルール。

事務審査・検査基準参照

https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/kouhyou/kijun/yobo/js/pdfjs/web/index.html?file=/content/000099593.pdf

私たちが主に携わっている高層ビルの連結送水管では、

法令・仕様等に基づいて主管のサイズが決まられています。

連結送水管の主管内径は、100mm以上である。

そして、その主管を各フロアまで上下に展開させます。

その後、

連結送水管の放水口への配管します。

この配管は、放水口バルブへの巻き出し配管とするため、

私は「65A」まで絞ることを検討します。

もちろん、

管路損失を計算し、必要な性能を満たすこと。

これが配管を絞る際の大前提です。

単純に、

「細くすれば安くなる」

という話ではありません。

必要な性能を確保したうえで、適正なサイズを選定する。

これが重要です。





排水管も見直してみる

元の図面では、排水管が50Aで計画されていました。



これについて、私なら25Aまで絞ることを検討します。



もちろん、これも用途を考えたうえでの話です。

この排水管の目的は、

工事中であれば水圧試験時の注水と・排水。

完成後であれば、メンテナンス時に

スプリンクラー一次側の竪管の水を抜くため。

その用途であれば、

25Aでも多少排水に時間はかかりますが、対応できると考えます。

一方、

緊急時に短時間で大量の水を抜く必要があるのか?

という点については、別途検討が必要です。

緊急時排水を重視するのであれば、配管サイズは太いほうが良いです。

つまり、

「なぜ、このサイズなのか?」

という理由を持って配管サイズを決めることが大切です。



④ 継手の選定

次は、竪管からアラーム弁へ取り出す部分。



ここを、

「フランジ接続」にするのか、
「ハウジング接続」にするのか。

という検討です。



これは弊社の社内ルールでも定めています。

なぜか?

過去に、

アラーム弁への取り出し配管をハウジング接続としていた物件で、

事故が発生した事例があるからです。

アラーム弁が倒れ、作業員が下敷きになってしまった。

このような事故を経験すると、

「施工しやすいから」

「安いから」

だけでは、継手を選べなくなります。

ハウジング接続には、

施工性が良い。
コストを抑えられる。

というメリットがあります。

一方で、

構造上、配管が回転してしまう可能性があります。

そのため、事故をきっかけに、

アラーム弁への取り出し配管にはフランジを使用することになりました。





ただし、すべてをフランジにすればいいわけではない

今回の図面を見ると、

2階部分については、配管が回転することで倒れてくる可能性があります。

そのため、ここはフランジ仕様が適切です。

一方、

1階については、ハウジング接続としても倒れてくる可能性が低い。



そこで私は、

フランジ接続からハウジング接続へ変更。

これを検討しました。

つまり、

「安全だから全部フランジ」

ではなく、

その場所、その条件に応じて、必要な仕様を選ぶ。

これが大切です。



架台についても、もう一度考えてみる

最下階となるアラーム弁の架台には、排水の取り口があるため、このような形状で作図されていました。



ここも、

「私が施工するとしたら?」

という視点で考えてみます。

私なら、

エルボをチーズに変更する。

そして、はね出し部分をつくり、

門型架台を左右に配置する。

という方法を検討します。



ただし、上階にはロケット架台があり、1階の天井展開部分でも配管の吊りが取れているため、

「ここまでこだわらなくてもいいのでは?」

という判断もできます。

これも、現場の状況次第です。



図面を見るときに大切にしていること

今回、ほかの現場担当者が描いた図面を確認しながら、

私が考えた改善案を紹介しました。


これが絶対的な正解というわけではありません。

現場の仕様があります。

その現場の施工条件があります。

その物件の現場代理人の考え方もあります。

そして、

工事には予算があります。

だからこそ、私は、

「この図面が正しいか?」

だけではなく、

「もっと良くする方法はないか?」

という視点で図面を見るようにしています。

これまで現場で経験し、失敗し、考え、向き合ってきた。

その中で身につけてきたノウハウの一つひとつです。



「あと200mm」をどう考えるか?

今回、別途確認事項として、

・床スリーブのスラブからの立ち上げの有無

 (床スラブから、止水を目的として床スリーブを100mm立ちあげるのか)


・床スラブから2,000mmの位置に「割」を入れているが、

  1,800mm程度まで下げたほうがよいのではないか

という点も伝えました。

私が現場でかなり重要視しているのが、

「床から、足場を使わずに手が届く高さにしておく」

ということです。

これは、ものすごく大切です。

施工時に、

「あと少し手が届かない」

となると、足場が必要になります。

たった「200mm」の違いでも、

現場では大きな違いになることがあります。

ただし、

200mm下げることで、

その上の配管が長くなり、別の不具合が発生するのであれば話は変わります。

だからこそ、

何を優先するのか?

を考えて選択する必要があります。



図面だけでは見えないもの

現場によって、仮設エレベーターの有効寸法も違います。

配管の最長寸法にも制限があります。

さらに、パイプ・材料の「歩留まり」もあります。

図面上で理想的な配管を描いたとしても、

「その配管、どうやって施工場所まで運ぶの?」

という問題が出てくることがあります。

だから私は、

図面 → 製作 → 搬入 → 施工 → メンテナンス

ここまで一連の流れで考えるようにしています。

今回の内容も、あくまで私からの提案です。

現場条件や仕様によって、最適な答えは変わります。

それでも、

「もっと良くできないか?」

と考えること。

そこに、現場代理人としての仕事の面白さがあるのだと思います。

図面の中に落ちている、

「お金」と「時間」。

そして、

「安全」と「施工性」「品質」。

見落とさないように、今日も図面と向き合っています。

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