午前中の現場確認を終え、

部下と共に工事手順書と見積もりの作成に取り掛かります。

常駐している現場に顔を出し、

今回のトラブル対応に関する施工図を印刷して、対応現場へ向かいました。

想定していたヘッドの破損ではなかった

現場を確認すると、配管が途中でなくなっている……。

当初想定していた、

泡消火ヘッドの破損による漏水ではありませんでした。

枝配管が途中から欠落しています。

付近には、

両端にエルボが付いた500mmほどの40A配管が落ちていました。

高さ制限を超えた車両が消火配管に激突し、配管を折損させてしまったようです。

消火ポンプ室の消火薬剤原液タンクは空。

泡消火薬剤はすべてなくなっているとのこと。

大量の泡消火液と、消火水槽の水が放出されたということです。

配管の吊り金物も、衝撃によって曲がっていました。

現場に到着したら、まずは自分の目で確認する。

そして、スケールを当てて実測する。

今回、真っ先に確認したのは、

配管が高さ制限を下回っていなかったかという点です。

結果は……OK!

高さ制限は確実にクリアしていました。

現場の状況から、車両の誤進入による事故と判断し、復旧作業に向けて準備を進めます。

事故対応をOJTの機会にする

今回は部下も同行させていたので、この事故対応をOJTの機会として活用します。

まずは、作業手順の検討です。

作業手順書を作るうえで大切なのは、ストーリーを組み立てること。

「起承転結」のように、作業の流れを時系列に沿って整理していきます。

些細なことでも構いません。

当たり前のことを、当たり前の順序で配置していく。

そうすることで、確認が必要な箇所や、

見落としてはいけないポイントが見えてきます。

例えば、

単に消火配管に水を張るという作業でも、考えるべきことはいくつもあります。

アラーム弁室など作業場所が施錠されていれば、鍵の借用が必要です。

入場に事前申請が必要なエリアもあります。

工事の時間帯、工事中の動線確保、作業エリアの区画。

さらに、

作業場となる配管の加工スペースや、

使用する電源コンセントの位置も確認しなければなりません。

作業そのものだけを考えていては、現場で手が止まってしまいます。

ある程度の骨組みを作ったら、細かな条件を詰めていく。

そして、着手から完了までの流れを、

具体的に箇条書きで書き出していきます。

自分で考え、読み合わせで精度を高める

ここからが、部下の成長につながるところです。

私が単独で作業手順を考える。

別々に、

部下にも、同じように自分で考えさせる。

そして、

それぞれが作成した内容を読み合わせます。

当然、経験の浅い部下には、見落としている部分があります。

例えば、一次側配管に水を張る際の留意点。

エア抜きの位置や、作業の順序。

こうした項目について、より具体的な着眼点を落とし込んでいきます。

単に「ここが抜けている」と指摘するだけではありません。

なぜ確認が必要なのか。

どのようなトラブルにつながる可能性があるのか。

そこまで考えさせることで、

次の現場でも応用できる知識になっていきます。

自分で考えた内容と、上司が考えた内容を比較する。

その差を認識することが、次の成長につながるのです。

見積もりの妥当性を考える

作業手順の検討が終わったら、次は見積もりの作成です。

先ほど整理した作業手順をもとに、工事内容を体系化していきます。

材料費、配管工事、泡消火薬剤の補充作業など、

ポイントとなる項目ごとに分けて金額を算出します。

提示した金額が、そのまま受け入れてもらえるとは限りません。

だからこそ、項目ごとに金額を明記し、

費用の根拠を説明できるようにしておくことが大切です。

その金額は適正なのか。

少し高めなのか。

もし高いのであれば、どのような理由があるのか。

材料費だけでなく、施工条件や作業の難易度、

必要な人員、関連作業なども含めて考える必要があります。

この見積もりについても、まずは部下自身に金額を算出させます。

そして、私が算出した金額と比較する。

すると……。

部下の見積もり金額は、私の半分以下でした……。

なかなかの差ですね。

しかし、このやり取りこそが、

金額の妥当性を考える機会になるのだと思います。

目に見える部品代だけでは、工事金額は決まらない

金額を算出するというのは、とても難しいものです。

例えば、ある小さな部品が1個100円だったとします。

しかし、その部品を取り付けるためには、

周囲にあるほかの部品をいくつか取り外さなければならない。

取り外した部品を復旧する作業も必要になります。

場合によっては、

作業スペースの確保や、設備の停止・復旧に伴う調整も発生します。

このように、一つの作業には関連する作業が付随します。

そのため、単純に部品代だけで工事金額を決めることはできません。

工事金額は、部品の値段だけではなく、

それを取り付けるために必要な作業全体を考えて算出するものです。

こうした考え方を身につけることも、現場を管理する人間には必要な能力だと思います。

上司は、部下を同じレベルまで引き上げる

作業手順の読み合わせ。

工事金額の妥当性についての検討。

こうしたやり取りを通じて、

部下に考える機会を与えることは、成長への大きな上昇気流になります。

上司は、経験を積んでいる分、ある程度のことはできて当然です。

しかし、自分一人ができるだけでは、組織としての力は十分に発揮できません。

自分が培ってきた知識や経験を、部下が再現できるようにする。

判断の根拠を伝え、自分で考え、判断できる人材へと育てていく。

それが、上司の役割だと思います。

一人の能力に頼るのではなく、チーム全体の能力を底上げする。

今回の事故対応も、単に設備を復旧させるための仕事ではありません。

部下の経験値を高め、次の現場で生かせる力を身につけてもらう機会でもあります。

**上司はもうできる。

だからこそ、部下を同じレベルまで引き上げる。

**チーム力の強化ですね

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