こんにちは、3児の父親でもある岩崎です。

子供たちの成長を日々目の当たりにしていると、

「できなかったことが、できるようになる」

という成長のプロセスから、部下の育成について考えることがあります。

今でこそ私は、水系消火設備の現場代理人として仕事をしていますが、

ここまで来るまでには、当然ながら長い時間がかかりました。

その中で経験してきたこと、失敗したこと、考えてきたこと。

それらを、できるだけ「ノウハウ」として整理し、次の世代に伝えていきたいと考えています。

人は、育ってきた環境も違えば、性格も、感受性も、得意不得意も違います。

同じことを同じように伝えても、10人いれば10通りの受け取り方があります。

だからこそ、教える側には「何を教えるか」だけではなく、

「どう教えれば、その人が理解して、自分でできるようになるのか」

を考える必要があると思っています。

水系消火設備は、実はかなり専門的で狭い世界

私が仕事としている水系消火設備は、

「消防設備」という大きなカテゴリーの中でも、

かなり専門性の高い、狭い分野です。

さらに細かく分けていけば、

一つひとつの仕事には、それぞれ明確な知識や技術があります。

そして、その一つひとつだけを見ると、

「実は、それほど難しくない」

というものも多いんです。

必要な材料を覚える。

必要な工具を覚える。

施工方法を覚える。

図面の見方を覚える。

ルールを覚える。

一つずつ積み重ねていけば、身につけることができます。

ただし、

「一つの物件を最初から最後まで、一貫して任せられる現場担当者になる」

となると、話は変わってきます。

私自身の経験からすると、5~6年程度は必要なのではないかと思っています。

もちろん個人差はあります。

覚えるのが早い人もいますし、経験を積むスピードも人それぞれです。

それでも、どうしても必要になるのが

「基礎を身につける時間」です。

私自身も、現場を追いかけながら仕事を覚え、

現場全体を理解できるようになるまでに、

5年ほどかかりました。

「見て覚えろ」の時代

当時は、

「仕事は見て覚えろ」

「先輩の技を盗め」

という時代でした。

もちろん、そこから学んだことはたくさんあります。

職人の動きを見て、

「なるほど、こうやるのか」

と自分なりに考える。

失敗して怒られて、

「次はこうしよう」

と覚える。

そうやって身についた技術は、今でも自分の中に残っています。

ただ、今、自分が教える側になって思うのは、

「自分が5年かかったことを、次の世代にも同じ5年間かけさせる必要はない」

ということです。

私が経験してきたことを整理して、カテゴリーごとに分け、ポイントを明確にして伝える。

そうすることで、

後輩たちが最短距離で成長できるようにしたい。

それが、

私が部下を育てるときに意識していることです。

では、最初に何をすればいいのか?

ここで、私が大切にしている考え方があります。

それが、

「知覚動考」

です。

「知って、覚えて、動いて、考える」

という順番です。

まずは知る。

そして覚える。

次に実際に動いてみる。

そして、自分で考える。

これを何度も繰り返します。

ただ知識を詰め込むだけでは、仕事はできるようになりません。

知識を持っていても、実際に現場で使えなければ、

それはまだ「仕事ができる」とは言えないからです。



料理に置き換えると分かりやすい

例えば、料理です。

皆さん、「目玉焼き」は作れますよね。

卵。

フライパン。

油。

塩や調味料。

そして、火を使う。

作るために必要な材料や道具をイメージできます。

これは、すでに「知っている」からです。

何も知らない人に、

「目玉焼きを作ってください」

と言っても、いきなり作ることはできません。

まず、

「卵とは何か?」

「フライパンとは何か?」

「火を使うとはどういうことか?」

を知るところから始まります。

そして、一度目玉焼きを作れるようになると、そこから応用が広がっていきます。

スクランブルエッグ。

卵焼き。

オムレツ。

同じ「卵」という材料を使っても、調理方法を変えることで、違う料理を作ることができます。

さらに、

「ニンジンを使ってみよう」

「豚肉を使ってみよう」

と、材料を変えていけば、料理の知識と経験がどんどん広がっていきます。

仕事も、これと非常によく似ています。

施工図も「レシピ」と考える

施工図を描けるようになるプロセスも、料理とよく似ています。

例えば、

アラーム弁室の施工図

を描くとします。

まず、その中に何があるのかを知らなければなりません。

アラーム弁本体。

各種バルブ。

配管。

継手。

ボルト・ナット。

架台。

そして、それを施工するための工具。

パイプレンチ。

モンキーレンチ。

インパクトドライバー。

ハンマードリルなど。

さらに、

「それぞれを、どうやって組み合わせるのか?」

という施工方法を知る必要があります。

料理でいうところの「材料」と「道具」です。

そして、もう一つ必要なのが、

「レシピ」

です。

料理におけるレシピとは、材料や分量、調理方法、手順などをまとめたものです。

同じように施工図も、

「この材料を使い、この位置に、この方法で施工する」

という、現場で施工するための設計図であり、いわば「施工のレシピ」と考えることができます。

施工図は、CADが描ければ完成するものではない

ここは、これから現場監督を目指す人には特に伝えたいところです。

施工図を描けるようになるということは、

CADの操作が上手になることではありません。

もちろん、最低限のCADの操作は必要です。

しかし、それだけでは施工図は描けません。

例えば、

「この配管を、実際に現場でどう施工するのか?」

「このバルブは、施工後に操作できるのか?」

「この配管を通したら、他の設備とぶつからないか?」

「職人が実際に施工できる納まりになっているか?」

「メンテナンスするときに、作業できるスペースがあるか?」

こういったことを考えられなければ、本当の意味で施工図を描くことはできません。

だから私は、

施工図を描く力=現場を理解する力

だと考えています。

現場を知らないまま、CADだけを覚えても限界があります。

逆に、現場を知っている人間が図面を描けるようになると、

図面の意味が変わってきます。

線一本にも意味がある。

寸法にも意味がある。

配管の高さにも意味がある。

バルブの向きにも意味がある。

「なぜ、ここにこう描くのか?」

を説明できるようになります。

「知る」から「考える」へ

最初は、

「これはアラーム弁です」

と覚えるだけでいい。

次に、

「この配管はこう施工します」

と覚える。

そして実際に現場で施工を見る。

自分でもやってみる。

失敗する。

考える。

もう一度やってみる。

その経験が積み重なって、

「この納まりなら、こうしたほうが施工しやすい」

「この位置なら、メンテナンスもしやすい」

と、自分で考えられるようになります。

ここまで来ると、単なる「知識」ではありません。

自分の経験として、仕事が身についてきます。

だからこそ、私は、

「知覚動考」

を繰り返すことが大切だと考えています。

そして、最終的には、

知っていることと、実際にできることを一致させる。

これが、

「知行合一」

につながっていくのではないでしょうか。

施工図が描ける現場監督になるための最初の一歩は、いきなりCADを開くことではありません。

まずは、

「現場を知ること」

です。

材料を知る。

道具を知る。

施工を知る。

職人の仕事を見る。

そして、自分で考える。

その積み重ねの先に、

「自分で施工図を描き、自分で現場を動かせる現場監督」

があるのだと思います。

私自身も、まだまだ勉強中です。

だからこそ、これまで自分が経験してきたことを整理して、次の世代に伝えていきたい。

「仕事は見て覚えろ」だけではなく、

「なぜそうするのか」まで伝えられる人間でありたい。

それが、これからの私の仕事の一つだと思っています。

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