午前中の業務は、新規受注プロジェクト検討のため、
いただいた設計図や工程表の読み込みをしていました。
設計図を見ていく中で、VEできるところは何か?
弊社の他物件との工事タイミングの重なりや、
担当者の状況を含めて検討します。
配属先となる現場への、通勤時間も重要ですからね。
工事全体の設計資料をいただきますが、膨大な量です。
この中から、消火工事に関する内容を選別していきます。
これも、経験ですね。
「木を見て森を見ず」
細かいところを見るのではなく、
まずは全体像、骨格を把握します。
主要部分となるポイントを押さえていくんですよ。
ポンプ室はどこなのか。
メイン配管のルート展開はどこなのか。
パイプシャフトのどこを立ち上がって、屋上に行くのか。
送水口の形状や、埋設配管の有無や距離。
ブースターポンプの有無、
屋上の水槽の容量、材質。
こういったところを、まず確認していきます。
これは、経験から算出されるセオリーのようなものです。
いつの間にか、身に付いている。
これを、私の部下には3年で身に付けることができるように、
「おれの思考をトレースしろ」と教えています。
今回、気になった点が1つありました。
屋上の消火水槽です。

図面にあった、
「テスト弁」
という表記が、とても引っかかりました。
まず、
連結送水管に「テスト弁」は無い。
という認識です。
また、屋内消火栓についても、
「テスト弁」という言葉を、久しく見ていないなと感じました。
そこで、東京消防庁の予防事務審査・検査基準を確認してみます。
屋内消火栓設備のところを読み返してみましたが、
現在の基準では、「テスト弁を設ける」という表記が見当たりません。
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そこで、インターネットでも検索してみると、
同じように、
「テスト弁の表記が無くなっている」
と書かれているブログにたどり着きました。
この「テスト弁」というキーワードから、
以前に改修工事を行った物件の記憶がよみがえりました。
建物の系統が少し変わっていて、
Aという建物の上に区画を隔てて、
Bという別の目的を持った建物空間が乗っているような建物でした。
Aの屋内消火栓の系統が、
屋上、つまりBの屋上でもある場所の屋上にある消火水槽に接続している。
ところが、
屋内消火栓の設計送水圧力はAの高さでしか満たされていない。
つまり、
屋上でA系統の「テスト弁」から放水圧力を確認すると、
「規定を満たせない」
ということがあり、消防協議に行ったことがありました。
最終的には、
「落差を考慮して、Aの建物最上階で必要な放水圧力を満たせばよい」
というところに着地しました。
このときに参照していた事務審査基準には、
「テスト弁を設ける」
と事務審査基準に明記されていた記憶があります。
では、このテスト弁の目的は何だったのか?
屋内消火栓は、その字のごとく「屋内」に設置された消火栓です。
建物内では、実際に屋内消火栓から放水して放水圧を確認することが困難です。
よって、必要な性能をクリアしているのか
確認することが難しいケースがあります。
そこで、屋上に「テスト用」としての放水口を設け、
放水圧力を確認できるようにする。
私の中では、これが「テスト弁」の役割という認識でした。
もちろん、屋上のエレベーター附室などに屋内消火栓がある場合は、
屋上にある屋内消火栓を「テスト弁兼用」とすることもできます。
こちらの物件では、屋上に消火栓がないため、
屋上の消火水槽直近にテスト用の弁を設けています。
このテスト弁も、
「エア抜き」
としての意味を持たせるように配管することがあります。
こうしたところも、実際の施工ではポイントになります。
ただ、今回気になって、改めて現在の事務審査・検査基準を確認してみると、
「テスト弁」という表記は見当たりませんでした。
時代とともに、基準の表現や考え方も変わっていきます。
昔の現場で当たり前だったことが、
現在の基準では、そのままの言葉では書かれていない。
だからこそ、
「昔こうだった」
だけで終わらせず、
その都度、現在の基準を確認する。
これが、消防設備士として大切なことだと思っています。
※ こちらの物件は、千葉県の建物なのでいつも工事している
東京消防庁管轄ではないので違いがあります。
☆
連結送水管については、
私の記憶では、以前の改修工事の際に、
所轄の消防官から
「連結送水管にテスト弁は無い」
と言われたことがあります。
連結送水管のテスト弁に該当する放水口は、あくまで本設の「放水口」である。
なるほどですね。
☆
ここで、屋上の水槽周りの配管についても、
一緒に確認しておきましょう。
VE案としては、
配管サイズを絞ることも1つの方法です。
屋内消火栓としては、下記に明記されています。

次に連結送水管では、

配管を1サイズ細くすることができれば、
それに付随する逆止弁やバルブなどもサイズダウンできるため、
機器の費用も抑えることができます。
もちろん、定められている消防設備の基準を満たすことが前提です。
消火水槽の有効水量についても、
必要有効水量を確認したうえで縮小できる場合があります。
ただ、水槽そのもののサイズは、
設計図からの機器変更となり、減額の対象となる場合もあるため、
そのままとすることも多いですね。
設計図をただ眺めるのではなく、
「これは本当に必要なのか?」
「もっと合理的にできないか?」
「この表記は、現在の基準でも正しいのか?」
こうした疑問を一つずつクリアしていく。
これも、消防設備士の仕事の一つです。
図面の中にある小さな「違和感」。
そこから、昔の経験と現在の基準を照らし合わせていく。
これもまた、
「経験を技術に変える」
ということなのかもしれません。
時代の変化に柔軟に対応し、「進化」し続ける!!


