ポッと出現した原状回復工事が、間もなく完成します。

今回の物件は、これまでまったく弊社とは関係のなかったビルでした。

ところが、今回は「原状回復工事」の仕事をいただくことになりました。

……と言っても、

「いただいた」というより、

「やらざるを得なかった」

と言ったほうが近いかもしれません。

基本的に、各ビルには専属の工事業者がいます。

ビルの運営やメンテナンスに伴って、

定期的に工事が発生しますから、

普段から付き合いのある業者が施工するのが一般的です。

ですから今回のように、これまでまったく関係のなかったビルから、

突然工事の依頼が入るというのは、ある意味でイレギュラー。

それ相応の事情があるということです。

……まあ、その話はさておき。

今回は、13階の専有部を全面的に原状回復する工事です。

工事がスタートしました。

既存のシステム天井部分も、今回はすべて撤去して更新することになりました。

さらに、納期の関係からシステム照明の「メーカー変更」も発生しました。

既存の照明をそのまま使用するのであれば、基本的には大きな変更点はありません。

ところが、メーカーが変わることで、

「今までとは少し違う」

「想定していなかった」

そんなことが何点か発生しました。

今回は、その中の一つをブログにしてみます。

システム天井に取り付けられるシステム照明

システム天井には、照明器具が規則的に配置されています。

そして、その照明の中央部分に、さまざまな設備機器が納まります。

例えば、

● スプリンクラーヘッド
● 火災感知器
● スピーカー
● 非常照明
● 空調アネモ

などです。

システム照明のマスの中に設備機器を納めることで、天井全体がすっきりとした仕上がりになります。

見た目もきれいです。

そして工事も終盤。

待ちに待ったシステム照明が、ようやく搬入されました。

私たち消防設備側も、スプリンクラーヘッドをそれぞれの位置に合わせて巻き出し、固定していきます。

ところが……

「あれ??」

ちょっと気になるところが出てきました。



これ……散水障害の可能性あり?

スプリンクラーヘッドには、適切に散水するために、ヘッド周囲に一定の空間を確保する必要があります。

ヘッド周囲300mm、ヘッド下部450mm

放水された水が、天井や梁、照明器具などによって妨げられてしまえば、

想定している散水分布が得られなくなる可能性があります。

今回、気になったのが、

この「段差」です。



「たかが、この程度の段差?」

そう思う方もいるかもしれません。

しかし、消防設備の現場では、

「これくらいなら大丈夫だろう」

という感覚だけで施工を進めるわけにはいきません。

実際に、このような納まりを散水障害として指摘されるケースもあります。

そして、指摘する側にも、それ相応の根拠があります。



だからこそ、

「大丈夫だろう」ではなく、実際に確認する。

今回は、この部分について検証することにしました。

ヘッド中心部から段差までは、50mm

スプリンクラーヘッドの放水曲線を重ねます。

結果は……

「クリア」でした。



製品として世に出している商品であり

システム照明の機器ですから、

もともとスプリンクラーの散水を考慮した設計になっているのかもしれません。

しかし、私たち消防設備士にとって重要なのは、

「たぶん大丈夫」

ではありません。

「なぜ大丈夫なのか」

そこを確認することです。

小さな段差にも、散水障害とはなりえないという根拠を持つ

消防設備の施工をしていると、

「こんなところまで見るの?」

と思われるような部分があります。

今回のシステム照明の段差も、その一つです。

ほんのわずかな段差。

見た目には、ほとんど気にならない程度のものです。

しかし、スプリンクラー設備では、その小さな違いが散水障害につながる可能性があります。

だからこそ、

法規・基準を確認し、必要であれば検証する。

そして、

明確な根拠を持って施工を進める。

これが消防設備士として大切な仕事の一つだと私は考えています。

現場では、

「たぶん大丈夫」

ではなく、

「確認した結果、大丈夫だった」

と言える仕事をしたい。

今回も、そんな一つの事例でした。

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