振り返って、ふと思う。
その時にしかできないことがあった。
つらいことも、大変なことも、
人生を楽しむための原動力に変えてきた。

自分がイメージする未来を生きるために、逃げずに向き合う。
「自由であるために、やらなければならないことがある」
そう思って生きてきた。
坂道を登るのは苦しい。
でも、その坂道を登らなかったら、
今の自分は存在していないと思う。
まっすぐ伸びる平坦な道を、ゆっくり走る人生も悪くない。
でも、
あの時の自分は、あらゆることに「飢えていた。」
真夏の炎天下。
空冷エンジンの熱を感じながら走ってきた道のり。
トラブルが起きても、人に頼るのではなく、自分で原因を探し、自分の手で直して帰ってくる。
腰上のオーバーホール。
キャブレターのセッティング。
このバイクで走るために、多くの知識と経験を身につけた。

走っているとプラグはかぶり、スパークが飛ばなくなるとエンジンは止まる。
予備のプラグに変えて 再び走り出す。
持ち帰ったプラグを
次の旅へ向かうために、サンドブラストで磨き復活させる。
手をかけた分だけ、答えてくれる。

自分の意思と技術があれば、どこへでも行ける。
それを、このバイクから教えてもらった。
そして、今。
消防設備士として現場に立つ今も、全く同じ熱量を維持している。
図面を描き、
配管を納め、
試行錯誤しながら、建物を完成させる。
簡単な仕事ではない。
でも、難しいからこそ面白い。
経験を積み、自分で問題を解決できた時、
そこには技術者にしか味わえない達成感がある。
あの頃、バイクに向き合っていた熱量は、
今も現場で生きている。


