次のプロジェクトに向けて、工事の検討を進めています。
約20年前に新築されたビルの全面リフレッシュ工事。
消火設備についても、消火ポンプの更新を予定しています。
既存建物の消火設備改修工事なので、新築工事のように、
設計根拠資料を一から整える必要はありません。
しかし、これから自分たちが携わるビルです。
設備の内容を改めて確認する意味も含めて、
改めて、管路損失計算などを行っています。
ちょうど時間にも余裕があるので、
業界経験3年目のMさんに教えながら、根拠資料を作成しています。
Mさんとは、前の新築物件から一緒に現場をこなしてきました。
「あのときは、こうだったよね」
「こうした理由は、これだったんだよ」
具体的に経験した現場の出来事と照らし合わせながら教えられるので、
非常に効率よく成長してくれています。
当時、しっかりと現場に向き合ってくれていたこと。
それが、今こうして机上教育をするうえで、
最大の宝物になっています。
地頭の良さも感じますね。
「素直さ」と「堅実さ」。
成長するために必要な要素は、こうしたところにあるのかもしれません。
そもそも、何をしているのか?
具体的に行っているのは、**「管路損失計算」**です。
屋内消火栓設備、連結散水設備、連結送水管など。
消火ポンプや送水口を起点として、
配管の長さや継手、落差などによる圧力損失を計算し、
必要な箇所で法令上求められる放水圧力を確保できるか確認します。
こうした計算には、エクセルで作成した計算シートを使用しています。
必要な配管の長さや継手の数、落差などを入力すれば、
計算結果が出てきます。
便利なものですね。
ただし、大切なのは、計算結果を出すことだけではありません。
その計算に出てくる数値の根拠を理解することです。
複雑な計算処理は、エクセルに任せればよい。
大切なのは、その計算の骨組みを理解することです。
なぜ「5m」なのか。
どうして「10m」なのか。
どこまでは150L/minで、どこから300L/minになるのか。
そうした数値の意味や、計算の起点となる条件を理解しておく必要があります。
フート弁と「かま場」の関係
前置きが長くなってしまいましたが、今回レクチャーしているのは、
消火ポンプの吸水側に設置する「フート弁」と、
それに関係する「かま場」についてです。

フート弁には、主に次のような機能があります。
● 逆止弁機能: ポンプ停止時などに、吸水側の落水を防ぐ
● ストレーナ機能: 異物がポンプ側へ流入するのを防ぐ
そして、フート弁と併せて理解しておきたいのが、
設置に関するルールです。
具体的な寸法や設置条件については、
所轄の消防機関が定める事務審査・検査基準などを確認します。

その基準を踏まえ、フート弁の設置位置や必要な寸法を確認し、
ポンプの吸水に必要な「かま場」の条件を躯体工事の段階から反映させていきます。

こうした内容は、難しく考えすぎる必要はありません。
基準書に記載されている条件を読み取り、
機器図や配管サイズなどと照らし合わせて、
必要な寸法を導き出していけばよいのです。
計算式そのものも、基本的な算数や幾何の知識で理解できるものがあります。
もちろん、すべての計算式を暗記する必要はありません。
大切なのは、どの基準書を確認すればよいのか、
何を根拠に寸法を決めるのかを知っていること。
そして、その根拠を説明できることです。
今回は、事務審査・検査基準と機器図、
配管サイズなどを照らし合わせながら、必要な最小寸法を導き出しました。
ただし、
図面上で最小寸法を確保できていても、実際の施工では誤差が生じることがあります。
そのため、施工性や現場での納まりも考慮し、
必要な余裕を持った寸法で躯体工事に反映してもらうことが大切です。
設計図に数字を入れて終わりではありません。
実際に施工できるか。
必要な機能を確保できるか。
そこまで考えて、初めて工事の検討が完了します。
こうして、また一つ。
階段を一段、踏みしめて登れるようになりました。

