先日、映画『座頭市』を観ていて、改めて考えさせられました。

主人公の市は盲目です。

普通に考えれば、大きなハンデを背負っています。

しかし、その境遇を嘆くことはありません。

むしろ、

自分の武器を極限まで磨き上げることで、圧倒的な強さを手にしています。

それが「居合の速さ」。

相手が刀を抜き切る前に勝負が終わってしまうほどの、圧倒的なスピードです。

私は、この姿勢に仕事の本質があるように思いました。





多様性という言葉が広く使われる時代になりました。

それでも、

日本の教育は今でも「みんなと同じ」であることを良しとする場面が少なくありません。

もちろん、社会の中では協調性は大切です。

建設業も、一つの建物を多くの職人や施工管理者が力を合わせて完成させる仕事です。

だから「和を以て貴しとなす」という考え方も必要でしょう。

しかし、中小企業では、それだけでは生き残ってはいけません。

私たちのような小さな会社では、

一人ひとりが明確な強みを持っていることが会社全体の力になります。

「人並みであること」よりも、

「この分野なら誰にも負けない」

そんな武器を持つ人のほうが価値を発揮できると私は考えています。



私は30歳目前で、この消防設備の仕事に飛び込みました。

20代は、とにかくがむしゃら。

器用ではありません。

だから、人より努力するしかありませんでした。

現場を経験する中で、自分の得意なこと、苦手なことも少しずつ見えてきました。

そして、あることに気付きます。

能力そのものではなく、

仕事の優先順位を変えるだけで、自分の価値は大きく上げられる。

ということです。



私が武器として磨き続けているのは、

「スピード」です。

電話が来たら、すぐ返答する。

図面を頼まれたら、できるだけ早く提出する。

見積もりを依頼されたら、相手が驚くくらい早く返す。

もちろん、何でも急げばいいわけではありません。

品質が最優先の仕事もあります。

しかし、

「早く返すこと」が相手の利益になる仕事なら、誰よりも早く対応する。

それを徹底しています。



施工管理の仕事は、図面を書くだけではありません。

材料や図面がないことで、現場を止めないこと。

指示を明確に出し、職人を待たせないこと。

他業者の工程を遅らせないこと。

つまり、

スピードは、相手への思いやりでもある。

私はそう考えています。



座頭市は、目が見えないという弱点を抱えながらも、居合の速さを極限まで磨きました。

誰かの真似をしたのではありません。

自分だけの武器を信じ、

それを誰にも真似できないレベルまで高めたのです。

仕事も同じではないでしょうか。

資格も経験ももちろん大切です。

でも、本当に評価される人は、

「この人といえば〇〇」

そう言われる武器を持っています。

それはスピードかもしれない。

提案力かもしれない。

段取り力かもしれない。

現場での気配りかもしれません。

自分の武器を見つけたなら、それを平均ではなく、

圧倒的な強みに育てる。

それが、これからの時代を生き抜く一番の近道なのだと思います。

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