こんにちは、水系消火設備の現場監督をしている岩崎です。

消防設備の施工で、

「この担当者、仕事ができるな。」

そう感じるポイントがいくつかあります。

その代表格が、消火ポンプ室と送水口周りの施工です。

送水口の施工は、

何本もの配管を限られたスペースに納めながら、

美しく、

そしてメンテナンス性まで考えて施工しなければなりません。



担当者の技量や経験がそのまま形になる施工場所です。

消防設備士として経験できる物件には限りがあります。

だからこそ、新築現場の1つ1つは非常に印象深い仕事となります。

今回の施工内容

今回の物件は、

建物外壁に送水口専用の小屋を設け、

その内部へ配管を立ち上げ、パネル面に送水口を配置する納まりでした。



消火設備の構成は次のとおりです。

・消防用水 2系統(2口)

・連結送水管 2系統(12口)

・スプリンクラー設備 2系統(4口)

建物地下1階の外壁を貫通し、土中へ。埋設配管し、送水口小屋の下部で立ち上げる計画です。

実は送水口を施工するのは約1年後

建物の工事は、

地下躯体工事



埋設配管施工



外周埋め戻し



外周足場組立・建物躯体・外壁工事



約1年後 足場撤去



送水口施工

という流れになります。

つまり、現場へ配属されて間もない頃に検討・施工した埋設配管が、

約1年後の仕上がりを左右するのです。

「その時になって考えよう。」

では、もう遅い。

初期検討の最初の一手が、そのまま完成形につながります。

消防隊が使う重要な設備

送水口は、火災時に消防隊が活動するための重要な消火設備です。

消防ポンプ車を配置し、

採水・送水を行う拠点となるため、

ホースの取り回しをイメージしつつ

系統の区分はできるだけシンプルで分かりやすくしておく必要があります。

一方で、

有事の時しか使用しない設備でもあるため、必要以上のスペースを確保することもできません。

今回、与えられたスペースは幅約4m。

この中に、

・各系統の送水口

・表示灯

・インターホン

などを納めていきます。

採水口どうしは、法令上500mm以上の離隔が必要です。

送水口には明確な離隔規定はありませんが、

施工性やメンテナンス性を考慮し、330mmピッチで配置しました。

さらに送水口の高さは、床面から500~1000mm。

その下部には、仕切弁・逆止弁・排水弁を配置します。



限られたスペースの中で、

一つ一つの寸法を積み重ねながら図面を完成させていきました。



埋設配管で一番気を付けたこと

今回施工した立ち上げ配管は10本。

埋設配管を施工した後は、安全確保のため、一度グランドレベルまで埋め戻されます。

そこで私が採用したのが、

各系統を連結する「仮設ピース」の製作でした。

この時点では、配管を架台で外壁躯体へ固定し、

さらに系統ごとにフランジで連結しています。

このピースは完成すれば不要になり、スクラップになります。

しかし、その数万円の投資には大きな意味がありました。

・埋め戻し時の配管ズレ防止

・埋設配管単独で水圧試験が可能

・いつでも漏水確認ができる

・管口の保護

・約1年後の施工精度向上

完成後には見えなくなる部分ですが、この一工夫が後工程を大きく左右します。



一生懸命だと知恵が出る

入社したばかりの頃は、配管の知識も施工経験もありませんでした。

その頃は、配管工さんに納まりや施工手順を教えてもらいながら仕事を覚えていました。

それができたのは、

先輩の施工管理者がすでに図面をまとめ、施工方法まで検討してくれていたからです。

しかし、

現場代理人として一つの現場を任されるようになると状況は変わります。

もちろん先輩へ相談することはできます。

ですが、最後に判断するのは自分です。

図面も工程も施工順序も、

「この方法でいこう。」

と決断する責任があります。

だからこそ、自分で考えるしかありません。

壁(障壁)は、必要なタイミングで現れる

私は、

「壁」というものは、ギリギリ乗り越えられるところに現れるものだと思っています。

明らかに乗り越えられないものは、そもそも壁として認識すらできないでしょう。

今回製作した数万円の仮設ピースも、

どの高さでフランジを設けるのか。

どこまで掘り出せば施工しやすいのか。

どこで寸法調整できるようにしておくのか。

正面図・側面図・平面図・断面図。

施工手順まで頭の中で組み立てながら、一枚のA1図面へ凝縮していきました。

完成形は見えてきます。

あとは、その通りに施工するだけ。

そんな確信を持って、職人さんへ図面を渡したことを今でもよく覚えています。

現場では、図面を描ける人が評価されるのではありません。



完成までを逆算し、何年先まで見据えて施工を組み立てられる人が評価されるのかもしれません。

一生懸命考え抜いた人ほど、施工には知恵が宿る。

技術者には、必ず向き合う障壁のような存在が登場します。

常に備え、常に学び、探求し続けていってください。

小さなことの積み重ねは、

必ず能力として身に付いていきます。

1つのことから多くを学ぶ姿勢であり続けていってください。

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