皆さん、この写真をご覧になって、
これが何かわかりますか?

「補助加圧ポンプ(ジョッキーポンプ)」の消音BOXです。
今から8年ほど前でしょうか。
私が担当していた高層ビルの、ブースターポンプ室に設置されていたものです。
消火設備に使用されるポンプ類は、
サブコンさんの支給品であることも多く、こちらのポンプもその一つでした。
この建物では、住宅フロアの中央部に消火ポンプ室がありました。
ところが、
「(ジョッキーポンプの起動)音がうるさい」
というクレームがあり、
その対策として、この消音BOXが施工されました。
当時の私は、
「なるほど、音を抑えるためにBOXで囲っているんだな」
くらいにしか考えていませんでした。
しかし、最近になって自分自身で「デッドニング」をやってみたことで、
「あの時の先輩がやっていたことって、こういうことだったのか」
と、改めて気づかされることがありました。



建設業界には、本当にいろいろな人がいます。
この現場の改修工事に行くと、
私は今でも、こだわりの強かったサブコン社員の先輩を思い出します。
その方は車が好きでした。
ただ、奥様と車を共有していたため、
ちょくちょく車をこすったり、ぶつけたりしてしまうことがあるそうで、
「そのたびに修理に出していたら、お金がいくらあっても足りない」
ということで、
いつの間にか自分で板金塗装までできるようになったと話していました。
当時の私は、その先輩が何をしているのか、ざっくりとしか理解していませんでした。
でも、先輩は自分で考えて、試して、失敗して、また工夫する。
そうやって、自分の技術を身につけていたのだと思います。

そして8年ほど経った今、
自分自身が車のデッドニングをやってみたことで、
「あの時、先輩がやっていたことにも、きっと同じような考え方があったんだな」
と、点と点がつながったような感覚がありました。
感性を磨くということは、
「気づく力」を少しずつ育てていくことなのかもしれません。
現場で起こること。
先輩がやっていること。
職人さんの何気ない一言。
自分には関係ないと思っていた作業。
そういったものに対して、
「なぜ、こうしているんだろう?」
と、自分自身がその場に立って、
見て、聞いて、体感してみる。
それは、かけがえのない財産になると思っています。
その時には「点」でしかなかった経験も、
何年か経って振り返ってみると、
どこかで別の経験とつながって「線」になる。
そんなことが、仕事をしていると意外とあります。
「無駄なこと」
「遠回りなこと」
そう思って、合理性だけを求めてしまうと、
誰かが積み重ねてきたノウハウを、
ただ受け身で得るだけになってしまうかもしれません。
でも、自分でやってみる。
自分で考えてみる。
自分の身体で体験してみる。
そうすることで、
以前見ていたものの意味が、後から分かることがあります。
それが、技術を身につけるということなのかもしれません。
さぁ、若者。
今日も少しだけ目を見開いて、
「なぜ?」
という視点を持って、1日を過ごしてみてはいかがでしょうか。
目の前にある仕事だけが、勉強ではありません。
現場で見たもの。
聞いたこと。
先輩の背中。
何気ない会話。
一見すると仕事とは関係なさそうな経験。
その一つひとつが、いつかどこかでつながるかもしれません。
私自身も、日常に埋もれることなく、
一つひとつの「気づき」を大切にしながら、
これからも仕事をしていきたいと思います。



