耐衝撃型スプリンクラーヘッド。

「耐衝撃型だから、多少ぶつかっても大丈夫」

そう思っていませんか?

今回、実際の以前の現場で交換したスプリンクラーヘッドがこちらです。

実際に、こうなりました。



本日は夜7時から、

世界的にも有名な超高級ブランドが入るテナント様へ、

年次点検で指摘されたスプリンクラーヘッドの損傷について、現場確認に伺います。

消防用設備等の点検は、

火災が発生したときに、設備がきちんと機能する状態を維持するために行われています。

点検には「機器点検」と「総合点検」があり、

機器点検は6か月に1回、総合点検は1年に1回実施します。

また、その点検結果については、防火対象物の用途等に応じて、

特定防火対象物は1年に1回、

それ以外の防火対象物は3年に1回、

消防長または消防署長へ報告することになっています。

今回の指摘内容は、

「スプリンクラーヘッドに損傷が見受けられる」

というもの。

ということで、本日は現地を確認してきます。





今回の現場に行く前に、

以前、別の現場で実際に交換したスプリンクラーヘッドをご紹介します。



こちらが、実際に損傷したスプリンクラーヘッドです。

左右でメーカーは異なりますが、

どちらも私が普段から施工で使用しているメーカーの耐衝撃型スプリンクラーヘッドです。


https://aiesu-sp.com/technology/impact-test-comparison/

https://www.senjusp.com/automatic-sprinkler-head


では、いったい何があったのでしょうか。

1つ目は「扉」との干渉



1つ目の事例は、機械室の扉がスプリンクラーヘッドに干渉し、ぶつかってしまったケースです。

原因を探っていくと、

天井総合図に表記されている建築図の扉の軌跡では、

スプリンクラーヘッドを回避していました。

ところが、

実際の現地とは相違があり、

スプリンクラーヘッドが扉の軌跡内に配置されていたため、

扉を開けた際にぶつかってしまったようです。

つまり、

図面上では大丈夫だった。

でも、

現場では大丈夫ではなかった。

ということです。

これは、なかなか難しいところです。

もともと図面上で扉の軌跡内、もしくは、軌跡に近い場合は、

私はまずスプリンクラーヘッドの配置をずらせないか検討します。

ただ、

照明や空調設備など、ほかの設備との取り合いもあります。

どうしても近接せざるを得ない場合には、

扉の製作図を確認して、実際の扉が平面図と一致しているのかを確認します。

なぜここまでするかというと、

施工を進めていると、図面検討した時はクリアしていても、

細心の建築図を重ねた時に、ちゃっかり図面が差し替わっている時があるんですよ!!

これは、

扉製作図の変更を平面詳細図に随時更新していないことがある。

図面を見ていて、

「ここ、ちょっと怪しいな」

と思ったところは、要チェックです。

これも、

ある意味では「現場の感」というものなのかもしれません。

完成検査では問題なかったのに……

この現場では、引き渡しから1年ほど経過した頃、

機械室の扉を開けた際にスプリンクラーヘッドへ接触してしまったようです。

完成検査のときには、扉が90度まで開放できることを確認し、検査をクリアしていました。

図面上でも最大90度の開きとなっていました。

そのため、

「扉側にストッパーを設けるのか」

それとも、

「スプリンクラーヘッドを移設するのか」

という協議になりました。

最終的には、スプリンクラーヘッドを移設することで着地しました。

そして、損傷したスプリンクラーヘッドは、新しいものへ交換しました。

2つ目は、下からの突き上げ

もう1つの事例です。



こちらは、スプリンクラーヘッドを設置した後、おそらく脚立などが当たったものと考えられます。

下から突き上げるような形で、スプリンクラーヘッドに損傷が見受けられました。

かなり大きく変形しています。



このように、スプリンクラーヘッドは天井面から出ているため、

施工後であっても、後施工業者によって

脚立などがぶつかってしまう可能性があります。

それでも、漏水には至りませんでした

ここで今回のポイントです。

この2つのスプリンクラーヘッドは、

メーカーは違いますが、

どちらも「耐衝撃型」のスプリンクラーヘッドです。

そのため、今回のような外部からのダメージを受けても、漏水には至りませんでした。

「耐衝撃型だから壊れない」

ということではありません。

実際には、写真のように大きな損傷を受けることがあります。

それでも、衝撃を受けた際に不用意な漏水につながることを抑える。

その役割が、耐衝撃型スプリンクラーヘッドにはあります。

もちろん、損傷が確認されたスプリンクラーヘッドを、そのまま使い続けるわけにはいきません。

損傷状態を確認し、必要に応じて専門業者による交換を行います。

スプリンクラーヘッドが作動すると……

スプリンクラーヘッドは、火災時に所定の条件で作動すると放水を開始します。

そして、

閉鎖型スプリンクラーヘッドは、

一度作動すると、

ヘッド単体で放水を止めることはできません。

つまり、

「間違って作動してしまったから、ヘッドを閉めれば止まる」

というものではありません。

不用意な漏水が発生した場合には、

設備の構成や現場の状況を確認したうえで、

適切な手順により水の供給を遮断し、

二次側配管内の水を排水する必要があります。

もし、漏水が発生してしまったら

万が一、

スプリンクラーヘッドの損傷などによって漏水が発生した場合には、

まず被害を拡大させないことが重要です。

該当するスプリンクラー設備の系統を確認し、

制御弁等を適切に操作して給水を止めます。

そのうえで、

アラームの親子弁、末端試験弁などを利用して、二次側配管内に残っている水を排水します。

そして、

スプリンクラーヘッドの交換。

必要な確認を行ったうえで、スプリンクラー消火設備を復旧させます。

もちろん、実際の操作については、

現場の管理手順に従って行う必要があります。

そして、本日の現場確認

さて、本日は、

「スプリンクラーヘッドに損傷が見受けられる」

という年次点検の指摘を受けて、交換工事を行う前の現地確認です。

工事をする前に、私が確認するのはスプリンクラーヘッドだけではありません。

まずは、

テナント様の什器等の配置。

天井内の納まり。

作業スペース。

脚立や足場を設置できる場所。

材料や工具を搬入するルート。

そして、

既設の配管や他設備との取り合い。

こうしたところまで確認していきます。

天井点検口から実際に覗いてみたり、

必要であれば天井内へ入って確認したり、

「実際に自分がここで作業するとしたら、どうするか?」

というところまでイメージします。

図面だけでは、現場は分からない

施工管理をしていると、

図面を見ることはもちろん大切です。

でも、

図面だけを見ていても分からないことがあります。

図面と現場。

設計と施工。

完成した状態と、実際に人が使い始めた状態。

この間には、どうしても差が生まれることがあります。

だからこそ、

「図面ではこうなっている」

だけではなく、

「実際の現場ではどうなっているのか?」

を自分の目で確認することが大切です。

スプリンクラーヘッド1個を交換する工事でも、

ただ古いものを外して、新しいものを取り付ければ終わり。

というわけではありません。

なぜ損傷したのか。

何が当たったのか。

同じことがもう一度起きないか。

交換作業は安全にできるのか。

天井内の配管はどうなっているのか。

周辺設備との干渉はないか。

そこまで考えて、

初めて「工事の準備ができた」と私は考えています。

本日の現地確認も、

「スプリンクラーヘッドを見る」

だけではなく、

その周辺までしっかり確認してきたいと思います。

消防設備は、

普段は目立ちません。

でも、いざという時には、

確実に働いてもらわなければならない設備です。

だからこそ、

小さな損傷も見逃さない。

図面と現場を照らし合わせる。

そして、必要なものはきちんと直す。

今日も、そんな仕事をしてきます。

そして忘れてはいけないことがあります。

「お客様にとっても、

 施工する職人さんにとっても、

 ビル管理者にとっても、

 私のできうる最上級の仕事をすること」

この1つ1つの積み重ねでしか、

技術職という仕事は輝きません!!

エスティー株式会社では、

こういった想いに共感し、

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