先日、

久しぶりに、とある消火ポンプ室へ行ってきました。

そこには、

スプリンクラー消火ポンプが3台。

屋内消火栓ポンプが2台。

そして、泡消火ポンプが1台。

消火設備専用のポンプ室です。

ポンプたちは、静かに鎮座していました。

入室してすぐに、いつもとは違う感覚を覚えました。

「……何かが違う。

 物言わぬポンプや架台が、自分に語りかけてきたように感じる。」

違和感の感じた方向へ近寄ってみる。

前回来た時と、何かが違う。

スプリンクラー消火ポンプが3台並び、

それぞれの流量試験配管には、ストラブが取り付けられています。

ストラブ。

正式には「ストラブカップリング」と呼ばれるメカニカル継手です。

溶接やネジ切りなどの管端加工をせず、

ボルトを締めることで、配管を接続・補修することができます。



3系統のうち、すでに2系統は施工済み。

そして、手を付けられず残されていた1本。

数年前、私が更新工事を担当しました。



既存の施工に合わせてもよかった。



もちろん、それでも問題はありません。


しかし、

自分が施工する工事です。

ストラブを取り付ける際、

私は「抜け防止架台」を取り付けました。



それから、数年。

久しぶりにその現場へ行ってみると、

架台の無かった他の2系統にも、

ストラブ部分に「抜け防止架台」が付加されていました。

同じL6×50の鋼材。



形状も、ほぼ同じです。

しかし、

やっぱり違う。

似て非なるものです。

よく見ると、



角の面取りがされていない。

ほんの小さな違いです。

言ってしまえば、

本当に小さなこだわりです。

けれど、



実際に触ってみると、自分の作成した架台はしっくりくる。



消火ポンプの周りを歩いてみる。

そこにある架台の、とがった端部。

切りっぱなしの鋼材。

それが、空間の中に小さな違和感を発生させているように感じる。

逆に、

すべての角がきちんと面取りされている架台には、

なぜか違和感がない。

私は、こういうものを、

「空間の圧」と呼んでいます。


私が入社したころ一緒に仕事をさせていただいた、


レジェンドと呼ばれるような現場担当者達がいました。

そうした方々の施工したポンプ室は、

扉を開けて、

一歩、中へ入っただけで分かる。

「圧」を感じるんですよ。

配管の取り回し。

バルブのハンドルの向きや、高さ。

架台の配置や、形状。

そして、

細部にいたるまでの仕上げ。

一つひとつを見れば、

面を取るというのも特別ではないのかもしれません。

しかし、

それらが積み重なることで、

一つの完成された空間になる。

そして、

そこに存在する作りこまれた造作物の1つ1つから

波動のようなものが発せられています。

それは、

施工した人間がこめた丹精、考え方や意識なのかもしれません。



身近なもので例えるなら、

よく目にする市販されている車であっても、

入念に仕上げられたチューニングマシーンには、

外見だけでは分からない、

秘められたポテンシャル。速さがあります。

見た目は、普通。

でも、

シートに座ってハンドルを握ると分かる。

「これは違う。」

そんな感覚です。

消火設備の施工も、

通じるものがあると 私は思っています。



今回の「抜け防止架台」。

何が違うのか。

その答えは、

ほんの小さなところにあります。

架台の角です。

切りっぱなしなのか。

それとも、

きちんとすべての角を面取りしているのか。

たった、それだけ。

でも、

そこに施工者の意識が表れる。

私は、

こういうところにこそ、

技術者としての「自負」があると思っています。

誰かに褒めてもらうためではない。

検査で指摘されることもない。

まして、

図面に「面取り」と書かれているわけでもない。

それでも、

自分が触った時に、

「これがいい。」

そう思える仕事をする。

それが、

私の仕事なのだと思います。

そして、

そういう小さなこだわりが積み重なった時、

ただの配管と機器の配置された

space(スペース)」だったものが、

「Universe(ユニバース)」になる。

その空間には、

施工した人間にしか分からない、

「シックス・センス」のようなものが残るのかもしれません。

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