事務所に到着すると、衛生工事があるようでピット内作業で使用する道具がそろっていました。

せっかくなので、今回は「ピット内作業」について書いてみようと思います。

建設業は「3K(きつい・汚い・危険)」と言われます。

厚生労働省の労働災害統計を見ても、建設業で多い事故は、

・墜落・転落(34.1%)
・はさまれ・巻き込まれ(11.0%)
・飛来・落下(10.5%)

となっています。

もちろん、どの業種でも当てはまる災害ですが、実際には業種ごとに「特に注意すべき危険」は異なります。

私たち消防設備業において、死亡災害につながる危険性が高い作業は、

**「高所作業」と「ピット内作業」**です。

中でも最も警戒しなければならないのが、「酸素欠乏(酸欠)」です。

酸欠は目に見えません。

臭いもしません。

だからこそ、一歩間違えれば命を落とす危険があります。

しかし、正しい手順を守れば、そのリスクは限りなくゼロに近づけることができます。

そのために欠かせないのが、私が勝手に「三種の神器」と呼んでいるこの3つです。

・酸素・硫化水素濃度計
・送風機
・バリケード



まずはマンホールを開け、作業口を確保します。

しかし、マンホールを開けた瞬間、床には大きな開口部ができます。

つまり、新たな「落とし穴」ができるということです。

そのため、最初にバリケードを設置し、第三者の転落を防止します。

続いて、酸素・硫化水素濃度計をピット内へ投入し、空気の状態を確認します。

私は送風を始める前に、まず現状の濃度を測定します。

作業前の状態を把握しておくことで、安全管理の精度が上がるからです。

その後、送風機を設置し、十分な換気を行います。

ピットが人通口などで区画されている場合は、

空気の流れを考えながら送風・排気の位置を工夫することも重要です。

十分に換気を行った後、もう一度 濃度測定を実施します。

安全が確認できて初めて、ピット内へ入ります。

私たち消防設備業では、消火水槽内での作業が中心となるため、衛生設備工事のように硫化水素が発生するケースはほとんどありません。

しかし、酸欠の危険は決してなくなるわけではありません。

もし酸素濃度が低い状態でタラップを降り始めれば、途中で意識を失い、そのまま転落する危険もあります。

さらに怖いのは、救助に向かった人まで酸欠となり、二次災害が発生してしまうことです。

だからこそ、「とりあえず入る」は絶対にしてはいけません。

送風し、測定し、安全を確認してから入る。

この基本を守ることが、自分自身だけでなく、一緒に働く仲間の命を守ることにつながります。

知識は、自分の命を守るための武器です。

酸素濃度の低下は、目では見えません。

だからこそ、経験や勘ではなく、正しい知識と正しい手順で、

安全第一の作業を続けたいと考えています。

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