私は、社会人になってから複数の業種を経験してきたことで、
視野を広く持つこと。
そして、
客観的に物事を見ることを意識しています。
業種特有の考え方や、昔から続いている習わし。
それらは、これまでの実績や経験から生み出されたものであり、
一定の合理性があるのかもしれません。
しかし、
異なる業種を経験してから建設業界に飛び込んだ私には、
業界特有の慣習や、現場ごとの独自ルールが多いことに、
少なからず違和感を覚えることがあります。
その1つが、書類関係の対応です。
現場ごとに異なる「作業手順書」
同じゼネコンであっても現場ごとに書式が違う。
さらに、
担当者によっても、求められる内容が違う。
作成した書類を提出しては、修正指示を受け、何度も手直しを繰り返す。
そうして、ようやくその現場独自の書類が出来上がります。
もちろん、現場ごとに施工条件や安全上の注意点が異なるため、
内容を調整する必要があることは理解しています。
しかし、いつも思うことがあります。
「その現場のキーマンが持っている、
過去の現場の書式をそのまま共有してくれればいいのに」と。
既存の書式をベースに、この現場に必要な内容を追加・修正していく。
そのほうが、ゼロから作成するよりも効率的です。
作業手順書として押さえるべき要点は、
基本的に共通しています。
そこに現場固有の条件や注意事項を盛り込めば、
十分に実用的な書類ができるはずです。
それでも、
現場が変われば書式も変わり、担当者が変われば求められる内容も変わる。
建設業界では、こうしたことが珍しくありません。
安全のためのルールが、形式だけの対応になっていないか?
以前、特に矛盾を感じた現場がありました。
その現場では、100kg以上の重量物を扱う場合、
作業手順書を作成するというルールがありました。
私の工事の1つとして地下ピットに、Sch40 200Aの鋼管を搬入する作業がありました。
当時の私は、現場担当者の指示を踏まえ、
鋼管の長さを短くすることで、
1本当たりの重量を80kg程度に抑えました。
100kgを超えないように、作業条件を調整したわけです。
ところが、
100kgを超えていないにもかかわらず、作業手順書の作成を求められました。
もちろん、重量だけで作業の危険性が決まるわけではありません。
地下ピットへの搬入であれば、
搬入経路や足元の状況、
荷下ろしの方法など、
重量以外にも確認すべき事項があります。
安全上の理由から、手順書が必要と判断されること自体は理解できます。
しかし、
それならば、なぜ必要なのか。
何を確認し、どのようなリスクを防ぐためなのか。
その目的を明確にしたうえで、ルールを運用してほしいと思うのです。
単に基準の数字だけで判断するのか。
それとも、実際の作業内容と危険性を踏まえて判断するのか。
この違いは大きいと感じます。
書類を作ること自体が目的になってしまえば、
本来の安全確保という目的から離れてしまう可能性があります。
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下請け企業だからこそ、感じる葛藤
以前の現場では、
書類の確認や修正が、必要以上に複雑になっていると感じることもありました。
担当者による指摘が繰り返され、
その都度、書類の修正や再提出が発生する。
もちろん、施工品質や安全性を確保するための指摘であれば、
真摯に対応しなければなりません。
一方で、修正のための修正になっていないか。
本当に現場の安全や品質の向上につながっているのか。
そうした視点も必要だと思います。
とはいえ、私たちは下請け企業という立場です。
現場を円滑に進めるためには、
発注者や元請け企業のルールに合わせて対応しなければならない場面も多くあります。
納得できないことがあっても、
現実には、簡単に変えられないこともある。
そこに葛藤があります。
建設業界には、改善できる余地がまだまだある。
私はそう感じています。
本日の業務は、スプリンクラー工事の作業手順書作成
少し話がそれましたが、
本日は月末に予定しているスプリンクラー工事の作業手順書を作成しています。
今回の現場は、
これまでのやり取りを経て書式や確認事項が整理されているため、
必要な部分を変更して提出する予定です。
では、皆さんは真っさらな状態から作業手順書を作成するとき、
どのように考えていますか?
私が意識しているのは、
スタートとゴールを明確にし、その途中にあるチェックポイントを並べていくことです。
例えば、
工事のプロセスが1から100まであるとします。
そのすべてを細かく書き並べるのではなく、
安全・品質・施工上の重要なポイントをピックアップし、
20項目程度に整理していきます。
もちろん、項目数は作業内容やリスクによって変わります。
大切なのは、単に作業を順番に並べることではありません。
● 工事の開始から完了までをイメージする。
● どの工程で、どのような危険があるのかを考える。
● 品質を確保するために、どこを確認すべきかを整理する。
● 次の工程へ進む前に、何をチェックする必要があるのかを明確にする。
こうして、
工事の流れと重要なポイントを整理し、作業手順書に落とし込んでいきます。
作業手順書は、単に提出するための書類ではありません。
施工する人が作業の流れを理解し、
安全かつ確実に仕事を進めるためのものです。
だからこそ、
書式を埋めることだけに意識を向けるのではなく、
その作業に必要な知識や経験を反映させることが重要だと考えています。
作業手順書を作ることも、技術者としての成長につながる
未経験者が一人前の技術者になるためには、
いきなりすべてを覚えようとするのではなく、
作業を単元ごとに分けて学んでいくことが大切です。
1つの作業について、
施工の流れ、安全上の注意点、品質管理のポイントを理解する。
そして、実際の現場で経験を積み重ねていく。
そうすることで、
その作業に必要な知識と技術が身についていきます。
やがて、
一つの分野を任せられるようになり、
さらに別の分野へと知識や経験を広げていく。
その積み重ねが、プロフェッショナルへの道につながるのだと思います。
そして、
作業手順書を自分で作成するようになると、ほかの手順書を見る目線も変わってきます。
以前は、ただ確認していた書類も、
「なぜ、この工程が必要なのか?」
「この確認項目は、何を防ぐためにあるのか?」
「自分なら、どのように整理するだろうか?」
そんな視点で見るようになります。
書類を作ることは、面倒な作業の一つかもしれません。
しかし、
施工の流れやリスクを整理し、自分の知識を確認する機会にもなります。
現場ごとに異なる書式やルールに、葛藤を覚えることはあります。
だからといって、
すべてを無駄だと切り捨てるのではなく、その中から学べることを見つけ、
改善できることは改善していく。
現場で働く技術者として、
そんな姿勢を大切にしていきたいと思います。



