自宅近所ということで、私が担当した物件です。
入社後、
初めての一人現場。
知識も経験も浅く、施工図も会社の図面屋さんに描いてもらって、
私は現場に常駐していました。
その時、上会社の営業課長に
「この金額で常駐してるなんて、ありえない!!」
と言われ、
悔しい思いをしました。
でも 当時の社長は
「それでいいんだよ。しっかり終わらせな。」
と言ってくれた。
その言葉は、今でもこの会社の良い点のひとつだと思う。
建物を新築で作り上げていくことは、大小にかかわらず“プロセス”は一緒。
私は、現場の「春夏秋冬」と呼んでいる。
1年の季節の移り変わりを知ることは、非常に重要。
大型現場を3年経験しても、搬入や材料発注だけで3年が終わってしまうことだってある。
一方で、
同じ3年であっても 1年の現場を3つこなす経験はとても大きい。
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☆ 冬、寒波到来
ニュースで注意喚起を聞いて数日後、電話が鳴った。
「漏水が発生しているので、対応をお願いします。」

水は凍ると体積が増える。
消火配管が凍結し、感知ヘッドからじんわり漏れた水が氷になっていた。
感知ヘッドから漏水し減圧すると、「一斉開放弁」によって
水路がフォームヘッド側に切り替わり、泡消火薬剤が放出される。

ニュースで見たことがあると思うが、
駐車場が泡まみれになり、下水へ流れてマンホールから溢れ出たり、
川に流れ込んで大量の泡が発生する場合もある。
この物件では PFASは使用していないが、
今ある古い建物の泡消火設備には使用されていることもあり、
流出事故となれば非常にナーバスな問題だ。
幸いにも今回は少量の漏水、凍結もしていたため
「一斉開放弁」が動作することはなく、機器交換だけで対応は完了した。

まず設計図に保温・ラッキングがあるかどうか。
都内の場合、これは設計者によって大きく分かれる。
この物件は「保温等なし」だったため、施工不良ではない。
引き渡しから13年。
ついこの間のことのようで、時の早さを感じる。


